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大正11年創業。町内にある加茂神社にあやかり命名された。地元で酒造好適米の栽培を行い、一貫して地域に根ざした“自米地酒”造りを続けている蔵。数年前から蔵元自らが造りに当たっている。
(中略)
18世紀の文献を紐とき、米のみを液化させる製造法を再現した極甘口の酒「古代酒」や、ユニークなネーミングの純米酒「死神」がある。全国新酒鑑評会6年連続金賞受賞。
(日本の名酒事典より)
写真の「加茂福 特別純米 遊邑酒人」については、
加茂福のご近所、邑南町井原 片田地区の山田錦(60l精白)を使用しました特別純米酒です。冷やでもぬる燗(40℃)でも、のど越しスッキリでとても呑みやすく出来上がりました。
日本酒度 +8の辛口です。
(加茂福酒造ホームページより)
アルコール分 15.5%
原材料名 米、米麹
日本酒度 +8
精米歩合 60%
使用酒米 島根県邑南町片田地区産山田錦
加茂福は、意見の分かれる酒造りと営業戦略を持った蔵、
一言で総括すればそういうことになる。
味としては個性的で、私はたまに気分を変えて飲むのなら好きである。
それなのに
ネガティブな記事になることをあらかじめお断りする。
また、全国新酒鑑評会金賞の連続受賞ができるということは、大吟醸斗瓶取は飲んだことはないが、おすすめできると思う。
今までも全国新酒鑑評会金賞受賞の多寡などを紹介記事の中に書くようにしてきたが、これには理由がある。
全国新酒鑑評会金賞受賞するためには一定の傾向と対策がある。
結果として万人受けするスタイルの酒造りが求められている、と言い換えても良い。
さらに言えば、そのスタイルに対して減点法で採点がなされているということも容易に想像がつく。
単発での金賞受賞の蔵の酒はそうでもないが、受賞回数が多い蔵については〜そのすくなくとも出品酒については〜そのスタイルに合わせた基本に忠実な酒造りができていることの間接的な証明になっていると考えられる。
ちなみに、それぞれの蔵で大吟醸斗瓶取で「出品酒」とされていることが多い。
実際は本当の出品酒は斗瓶のバージョン(NO.)が違い、出品用としては「格落ち」であることには注意が必要である。
出品用のお酒はフィギュアスケートで言えば、「規定演技」。
(フィギュアスケートに詳しくないので言い方が古いかもしれないが・・・。)
私は転倒してでも4回転ジャンプとかそういった方が好きなので「規定演技」の酒は滅多に飲まない。
お金がないせいでもあるが・・・。
年をとって、万が一裕福にでもなり、お酒も確実にいいものをすこし・・・と味的好奇心が枯れてくれば、私もこういうお酒を飲むようになるかもしれない。
確率的にはかなり低いことですな

でも純米酒〜(純米)吟醸酒に「規定演技」の方向性のラインナップをそろえることができた蔵は、万人向けだからこそ確実にファンが増えて評価を高められる。
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さて完全に話が脱線しているが、本来の加茂福酒造はそうした基本に忠実な酒造りができる酒蔵だと考えて間違いない。
それにも関わらず個性的な味をつくるのが好き、奇をてらったネーミングが好きという分裂傾向の動きをしてしまう蔵でもあるのだ。
「加茂福 特別純米 遊邑酒人」は、割合と個性的なところがぐっと抑えられつつも、米の味わい、旨みを前面に押し出そうとする意図がありありと伺える、そうしたお酒。
ひやでもぬる燗でもとあるが、私の好みではあきらかに燗酒向き。
ひやで飲むとやはり万人向けではなく、好みが分かれると思われる。
酒名の「遊邑」は、蔵の所在地である邑智郡ではよく使われる駄洒落。
お米をつくった集落営農団体遊邑片田からとっており、その命名の思いは理解できる。
しかし本当にお酒が好きな人の立場に立ってみたときにその駄洒落はいかがなものか?
ネーミングから真剣さが伝わって来にくいため、その分だけ損している、と軟派な酒飲みの私でも思う。
お酒を買う人だって、その日の晩酌や人との語らいで良い思いをしたいがために大枚をはたいて、真剣にお酒を選ぶのだから、そこに思いを馳せて欲しい。
私なら「加茂福 片田」と命名するのだが・・・。
他にも島根大学で開発した新酵母HA11を使った酒など、積極的な取り組みもわかるが、極め付きは冒頭にもあった「死神」である。
最近、近くの取扱店が営業をやめたため、「死神」は入手困難である。
写真はないが、同社HPにあるとおり、
日本一縁起の悪い名前の酒 その名も・・・死神
縁起でもない酒銘の酒登場。色は枯葉色、サエも良くない。
しかし一度飲めばはまる酒です。さあ貴殿も取り憑かれてみませんか?
まさにこのとおりのお酒で味は個性的でおもしろかった。
しかし二度と買う気になれない。
それは、ネーミングで奇をてらいすぎており、「死神」という名前の酒の使い道が無いからである。
いっしょに飲んだ人から飲んでいて楽しくないと言われた、私もそういわれてそういう気になった。
それで終わりなのである。
買ってもらえてせいぜい一発屋(私も1回だけ)。
よほどその個性にはまった人以外はリピートしない。
まこと左様に、ネーミングは大事。
基礎もできていて、個性的な酒造りもできて、それでいてネーミングでこけているのは誠に残念。
1つには、ネーミングを加茂神社の怒りを買わぬよう、「加茂福」というオーソドックスな名前主体に戻すこと、
2つには、蔵全体の酒について、使用している水の素性を殺さぬよう、酒の味・造りをもう少しオーソドックスなもの主体にすること、
検討してくれたらうれしいな。
そうすれば、幹の通った酒造りと経営戦略になると思う。
できないところには言わない。
島根のお酒のファンとして気長に待っていたい。
※島根の酒造りと営業戦略についての思いを、いつか別立てで記事にしたいので説明不足も御容赦のほど。※別のまずい酒で悪酔いしながらなのでさらに御容赦を。
加茂福酒造株式会社
島根県邑智郡邑南町中野2405
TEL (0855)95−0318
http://www.kamofuku.co.jp/最後まで読んでいただきありがとうございます。
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